
大須多国籍グルメ散歩
異国料理と大衆食堂を巡る食の街歩き

名古屋の異国・大須で世界一周!本格多国籍グルメと老舗大衆食堂の深い誘惑「名古屋の中に、パスポートのいらない外国がある」……そう言っても過言ではないのが、大須商店街の本当の面白さですよね。食べ歩きのスイーツや唐揚げも楽しいけれど、実は大須の本領は、一歩路地裏に入った先に広がる「本格的な異国料理」と、時が止まったような「ローカル大衆食堂」の共存にあります。「今日はなんだか刺激的なものが食べたい気分だけど、ゆっくり落ち着いて食事も楽しみたい……」。そんなワガママな願いを、まるで魔法のように叶えてくれるのが大須という街の懐の深さなんです。
今回は、多国籍文化が混ざり合うこのカオスな街で、プロが自信を持っておすすめする「本気の一皿」を深掘りしてご紹介します。
1. 鼻をくすぐるスパイスの香り!大須で味わう「世界の家庭料理」大須の多国籍グルメを語る上で、ブラジル料理は絶対に外せません。多くの人が店頭で回っているローストチキンを思い浮かべるかもしれませんが、本当のディープな魅力はその「店内の奥」に隠されています。新天地通りにある『オッソ・ブラジル』。ここでは、テイクアウトだけでなく、ぜひ店内でゆっくりと「フェイジョアーダ」を味わってみてください。黒豆と豚肉、ソーセージをじっくり煮込んだこのブラジルの国民食は、見た目以上に滋味深く、一口食べれば南米の家庭の温もりがダイレクトに伝わってきます。スパイスの香りに包まれながら、ポルトガル語が飛び交う店内で食事をしていると、「あ、今自分は名古屋にいないかも」なんて不思議な錯覚に陥るはず。また、最近のトレンドとして見逃せないのがベトナム料理のクオリティです。路地裏にひっそりと佇む『ベトナムキッチン』や『アンナム』では、本場のシェフが腕を振るうフォーやバインミーが楽しめます。パクチーの爽やかな香りと、魚醤(ヌクマム)の独特のコク。透明感のあるスープを一口啜れば、蒸し暑いハノイやホーチミンの夜風が吹き抜けるような感覚に。もしあなたが「最近、毎日が同じことの繰り返しで退屈だな」と感じているなら、この路地裏の異国体験は最高のリフレッシュになること間違いなしです。
2. 時代が止まったかのような安心感。大須の「ローカル大衆食堂」エキゾチックな異国の風に吹かれた後は、日本の、それも名古屋の原風景とも言える大衆食堂へ足を運んでみましょう。大須には、流行に左右されず、何十年も変わらない「日常の味」を守り続けている宝物のようなお店が点在しています。筆者が個人的に、大切にしたい場所として真っ先に挙げるのが『大衆食堂 互楽亭(ごらくてい)』です。ガラガラと年季の入った引き戸を開ければ、そこには昭和の空気がそのまま真空パックされたような空間が広がっています。ここのおすすめは、なんといっても「みそかつ定食」。衣に染み込んだ甘辛い味噌ダレは、決して上品すぎない「労働者のための味」。でも、それが白米と合わさった時の爆発力といったらありません。地元のおじいちゃんが昼間から新聞を片手にビールを飲んでいる横で、熱々のカツを頬張る幸せ。これこそが、大須という街が長年育んできた「市民の台帳」のような食事なんです。さらに、洋食の老舗『御幸亭(みゆきてい)』も忘れてはいけません。ここは、かつての大須の賑わいを今に伝える格式ある名店。黄金色に輝くオムライスや、デミグラスソースがたっぷりかかったハンバーグ。一口食べれば、子供の頃にデパートの食堂で感じた「特別な日のワクワク感」が鮮やかに蘇ります。
3. なぜ大須は「ごちゃ混ぜ」なのに心地よいのか大須を歩いていると、トルコケバブの香ばしい匂いのすぐ先に観音様が見えたり、イタリアのピザ窯の隣で日本の古着屋が店を構えていたりと、まさにカオス。でも、この「ごちゃ混ぜ感」こそが、大須のアイデンティティそのものなんです。正直なところ、初めて訪れる人はそのエネルギーに少し圧倒されるかもしれません。でも、多国籍料理の店主も、老舗食堂のおかみさんも、みんなこの街が大好きで、訪れる人を分け隔てなく温かく迎え入れてくれます。「どんな文化も、美味しいものなら受け入れる」。そんな寛容さが、私たちの胃袋を掴んで離さない理由なんですよね。「お洒落なカフェ巡りもいいけれど、今日はもう少し人間の体温が感じられる食事がしたい」。そんな日は、ぜひ大須の路地裏まで潜り込んでみてください。一皿の料理を通じて、世界の広さと、地元名古屋の変わらない温かさを同時に感じられるはずです。
4. 大須で最高の「一食」に出会うためのマナーとコツ最後に、大須のディープなグルメを120%楽しむためのアドバイスを。それは「直感を信じて、あえて迷子になる」ことです。大須には主要なアーケードがいくつもありますが、本当に面白いお店は、そのアーケードを繋ぐ細い横道に隠れています。スマホのマップを一度閉じて、鼻をくすぐる匂いや、店構えから漏れる活気を頼りに歩いてみてください。また、大衆食堂では「相席」が当たり前のシーンもあります。隣り合わせた常連さんと軽く会釈を交わす……そんな小さな交流も、大須という街を美味しく味わうための隠し味になりますよ。最後に大須商店街は、常に新しい文化を飲み込みながらも、決して変わらない「芯」を持っています。世界各国の本格的な味と、地元の伝統的な味が隣り合わせで共存するこの街は、まさに「食の地球儀」。
次の週末は、パスポートを持たずに世界旅行をする気分で、大須の街をゆっくりと歩いてみませんか?きっと、お腹も心もパンパンに満たされる、特別な一日があなたを待っています。一度その深みを知ってしまったら、もう普通のランチでは満足できなくなってしまうかもしれませんよ。